前回、大まかな総論的視点で、景品表示法のことを書きました。
これまで、医療界においては、先に目に付くのが国家資格取得の際における「関係法規」として、多くが資格に該当する法を学びます。
しかし、実際に社会に出るとイヤでも関係してくる、他の周囲の法規が様々に出てきます。
それが広告だったら「景品表示法」というわけです。
前回出したこの図は、資格の法律の内部の広告規制に引っかからなくても、引っかかっても、患者さんに到達する前に「景品表示法」が存在しますよ、ということを現しました。
順番を逆に考えなくてはならなかった?
どうしても、免許制度で仕事をする以上は、自身の資格法規を優先しなければなりません。
優先は間違っていません。
しかしそれだけではいけなかったのです。
まず先に医師法・柔整師法をクリアする・・・そうすると「WEBは医療法の範囲外の広告として思案できる」というパターンを生み出しました。
そう、自ら見に行くので広告規制に該当しない、という考えです。
私が考えるのは、顧客・患者さんに情報提供するのなら、図式にある、患者さんに一番近い法律から考える方が
もっと理解が早かったと思うのです。
そう、景品表示法は
「優良誤認」:品質・規格、その他の内容について、著しく優良であると誤認される表示
「不実証広告規制」:消費者が適正に商品・サービスを選択出来る環境を守る為の規制
「有利誤認表示」:価格にや取引条件に関して著しく有利であると誤認される表示
をターゲットとしています。
ここには「誤認される」とあります。「誤認させる」ではありません。
つまり、送り手にその気が無くても、「受け手に誤認されてしまって」も該当してしまうのです。
なので、この法律は配慮が必要になります。
その上で、内容として医療系法規に問題が無いか?と考えるべきだったのです。
法律改正が現実的ではないので
法律を変更することは簡単にできません。
従って、関係省庁である厚生労働省が「ガイドライン」を作ることで
法律的にはまだ問題が残っているけど、法改正が現実的では無く、消費者である患者さんを守りながら正しい選択をして頂く・・・
という事が現実社会として出来る様になったのです。
なので、見方を変えればダブルスタンダードに見えます。
しかし、何よりも「消費者保護」のための現実的施策の必要があるので、ガイドラインで対応しているのです。
いつかは法改正もあるかも知れません。
同時にネットも広告規制対象となりました。
なので「WEBは関係無い」は通用しません。
ガイドラインで変わること
医療ガイドラインが先行しました。
その際に、規制されたモノのおおよそは以下になります。
体験談の掲載の禁止⇒患者さんの体験談の掲載はNG。
よってホワイトボードに感想を書いて写真掲載も出来ない
最高級表現の禁止⇒「日本一」「No.1」「最高」といったワードがNGのみならず
「○○の治療では日本有数の実績を有する医療機関です」もNG
最高級表現がNGだけでなく最高級類似表現もNGなので「トップクラス」「代表的な」なども不可といえる。
他より良いよ表現はNG⇒「他の治療法とは違い・・・」もNG
安さの強調NG⇒今なら○○円はNG
○○で紹介されました⇒雑誌や新聞で紹介された旨の記載はNG
専門家の説話、芸能人・著名人の来院もNG
結果の保証はNG⇒改善できる!治せる!
比較表現NG⇒地域性や人気でNO1などの表記がNG
「数」表現の規制⇒来院人数など
などなどがコテ盛りです。
これが、医科のほうで先行した内容ですが、これが下手すると、ごっそりそのまま降りてくる
ことにもなりかね無いのです。
これが全ての広告に当てはまってきます。
となると
・看板
・チラシ
・パンフレット
・HP
・その他、自己紹介的な媒体(セルフマガジンや、下手すると名刺も?となりかねません)
が、該当します。
さて、私の得意分野での交通事故で見ていきましょう
先だって「これって大丈夫なんですか?」とポスターの見解を求められましたが・・・
いや・・・あえて書かせます?
景品表示法として、考えて見ましょうよ・・・
もう、ここまで書けば理解が進んでいるかも知れないですが
・治療費0円(もしくは窓口負担無し)
・ドクターdis(整形外科ではレントゲンとって湿布と投薬のみ・・・とか)
・過去の患者数の掲載
・「治療先ならここ!」みたいな本に載りました
・地域ナンバーワンになりました
・感想をホワイトボードに書かせて、一緒にハイチーズ
・「交通事故専門」「厚生労働省認定」「国家資格取得の為に自賠責保険適用で治療費0円」
これらは全て、景品表示法的にもNGになります。
というか・・・勉強会で景品表示法云々の前から「やったらアカン系」として、説明してきたことですが・・・
その心は、「患者さんの判断を誤らせて集患しても、そのしわ寄せは患者さんが被る!!」という点が共通なんです。
法規制の前に、そういったスタンスで対応すると、後に取り返しのつかないことになりかねまんよ・・・
と、勉強会でも説明しておりますね。
元損保職員さんの動画でも、こういった広告内容は保険会社は協定前にチェックしており、どういった性質を併せ持っているか?・・・を印象受けた上での電話による協定交渉に臨みます。
その印象づけの際は、通院する患者にまで「そういったところに通う患者」というレッテルが貼られます。
ここでよく考えて下さい
「景品表示法」は、私の理解では、
専門的分野の情報・判断が推し量れない消費者を守り、世間一般的な常識のもとで現実近い情報から採用判断するのを阻害しないため
の法律だと考えます。
つまり、本来はワザワザ法律で規制しなくても、人として騙して選択をさせる事は良くないことだと皆がわかっているが・・・性悪説として規制しないと歯止めが効かないから・・・という。
普通、真っ当な仕事していれば必要は無いんですよね・・・
引っかかるというのは、道義的にやっちゃイカンと言う事だからです。
それでも、やっちゃっているんですよ・・・
・0円で治療
・ありもしない厚生労働省認定
・法律・制度の観点からして賠償のための書類とは言い難い証明書提出・・・なのに「なんでも相談下さい」とか
など・・・
その施設の選択の際に、実態とは違う表記や、著しくかけ離れた情報でもって、集患しちゃいいけないよ・・・という景品表示法は、必要の無い人には必要有りません。
でも、よく分からないのなら、この法律とまつわるガイドラインの存在を知って、正しく対応する事は
『医療でもって地域貢献する職種』を選んだ以上は、必須です。
同時に肝に銘じてもらいたいこと
よく聞くのが「言われてから直せばいいや・・・」これは、直るまで騙して誘導している事実がある事が、根本から抜けています。
今はまだ活発では無いですが、この景品表示法には、チェックすべき事案が他にもあります。
景品表示法違反は、
親告罪ではなく、被害者が被害届を出さなくても監督庁または自治体長も調査・命令権限を有します。
この広告検討会の参加委員には、県から権限委譲され接骨院の広告内容を徹底是正を行ってきた、奈良県橿原市の職員の方も参加されています。
どのように、対応するか?のノウハウを構築してきている市区町村です。
そう・・・この、広告検討会が終了した後の、対応環境がどのようになるか?
誤魔化しが効かなくなる方向性になるのは、今からでも容易に想像できますね。
まとめ
・するつもり無くても「誤解されたり」「されかねない」と判断したら、景品表示法に抵触するよ
・言われたら直す・・・の対応では、今後は通用しなくなるかもよ
・そもそも、ウソ・誤魔化し・ダマシで集患しちゃイカンって
おまけ
「広告検討会」は終盤です。
残念なのは、第一回から「それより無資格者はどうする?」という議論が割り込んだことです。
有資格者には切実な問題なのは理解出来ますが、医師のガイドラインとはちょっと特性が違う「柔整あはき」なのですから、その資格が活かせる広告検討会に集中して欲しかったのですがね・・・
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