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本当に損保ジャパンは悪質な保険会社なのか?

今回は長文です

Twitterから端を発した投稿が、拡散され話題を呼んでいます。

損保ジャパンは被害者に不利益な示談を提示してくる悪質な保険会社です

医療従事者も拡散しているのを見ます。
ただ、交通事故の表裏を見てきた人間としては、「損ジャってトンデモ無い会社だ!」という風潮には、そのまま素直に同調出来ません。

その上で、中立的・現実的に書きたいと思います。
従って、損保ジャパンを擁護するつもりもありません

記事を読んだ時点での状況

・高速で追突事故
・過失割合は0:100(自身が先が正解)
・割合については全員が認識・合意
・ケガをしており、家族は入院しているので「人身事故扱い」はされていると推測
・治療費は任意一括請求が成されており、病院との協定も成されている様子
・しかし病院への預かり金は現時点で払われていない
・車両に関しては、レッドブック記載の金額しか認めないと損ジャが言っている
・しかし、廃車なので、買い換え費用までも認めろと主張
・主張するが、損ジャは認めず上席判断も同様であり飲めないのであるならば法的措置を行うと恫喝し始めた
・担当者の変更を損保ジャパンのお客様サービスセンターにも訴えている
・車両に対しては非常に愛着があり、エンジンマウント交換やHIDへの交換もなされており、まだ乗るつもりであり「世界に1つだけの車」として価値を主張している
・ 「僕の車」という表記であるが、会社の車でもあり、投稿者本人以外に「社長」という表記をする人物がいることから、法人の所有車両であり、保険も法人契約と思われる

 

この前提で解説をしていきます。
ただし、交通事故を熟知している、1保険代理店からの意見ですので、その点はご容赦ください。

 

まず損保ジャパンという会社について

非常に多くがリツイートされ、「損保ジャパンという会社がひどい」という印象が駆け巡ったツイートになっています。
実際、私の交通事故においても、相手方が損保ジャパンだったこともあり、この会社の特徴もよく知っています。

保険屋さんをしていると「どこの保険会社がいいのか?」という質問を多く頂きますけれども、特定の保険会社だけがバツを抜いていいということはありえません。

基本的に私は、保険を選ぶ際は「保険会社名」「保険料」ではなくて「補償内容」で選ぶべきと主張していますので、特定の会社名を推すことはありません。

そして対応の悪さが今回のテーマになっていますけれども・・・
はっきり言えば塩対応をしない保険会社なんて聞いたことがありません!

つまり事故被害者になれば、  多かれ少なかれ、折衝問題が発生します。
その中でも、抜きん出て対応が塩辛いのが損保ジャパンというのが有名というだけです。
そして、この担当も微妙に「ヘタこいた」というだけ。
個人の力量の問題もあります。

正確には保険金ではない

相手の損保ジャパンが払うお金は、正確には「賠償金」です。

賠償においては「民法709条:不法行為による損害賠償」が、支払いの根源になりますので、この法律に付随する「相当因果関係の立証責任」という
「賠償を請求する方が、その根拠を提示しなくてはならない」
がつきまといます。
本来であればこれが非常に素人には困難なので、 鑑定人が入るだとかで、その補助がなされているのが現状です。

よく保険会社が「誠意をもって払わない」と言われることもありますが、営利企業でありますので、損害賠償の根拠が提示されなければ、支払う義務もないので、それを最大限活用しているだけです。

つまり相手方は、自分の土俵でとれる相撲のやり方を熟知しているのです。

保険会社の処理としては保険金ではありますが、対外的には「賠償金」でありますので、ここを営利企業として最大限削減活用しているだけです。

したがって、こういった事例を「損害保険協会」や「金融庁」へ訴えてもほぼほぼ意味がありません
公序良俗に反する事実があれば別ですが、 こういったことで行政からの処分が下されるようでは、全ての損害保険会社は営業ができなくなります。

 

そもそも「たてかえ」が前提

今回の諸費用を、交渉中から支払われてないことがあるとして憤慨されていますが、損害賠償の多くが
「最後にまとめて精算」
が本来は前提です。

請求は先に挙げた民法709条が根幹にありますが「私はこれまでに、これこれ・これだけかかった・・・ので払ってください」というのが本来のやり方になり、治療費を含め、最後の損害賠償が確定する前から一部支払いが行われている交通事故だけが特殊なのです。

究極にいうと・・・
裁判が全てのゴールになってしまいますが、それでは大変だから「示談」があって・・・当事者同士の話し合いで解決し・・・日常生活においても深刻な怪我になる交通事故だからこそ、治療費の建て替えが厳しくなる。

だから「任意一括請求」という形で治療費の払い出し窓口の対応する・・・これが義務ではなく、サービスとして行われている・・・なのが現状なんです。

 

だから、示談解決や裁判での判決がなされた後でも支払わなければ、それは大問題になります。
ですので、この時点で払わない・・・これは制度上問題がありません

車の賠償において

個人の思い入れもあるようなのですが、日本の制度上評価額でしか物損の支払いはできません
その支払い指標がレッドブックなどの基準となる金額ですので、 裁判をしたとしても、同等車両の購入費用一式までを認められることは考えられません。

認めたら、言ったモン勝ちになるでしょ?

相手の対物賠償には対物超過修理費用特約などが付帯されていることもありますが、超過している判断も結局はレッドブックを基準としますので、経過年数があり車両価格が低く評価される車両においては、当然ながら賠償金額も比例してしまう傾向です。

保険屋さんをしていると、自動車保険の代理店業務中において「もう古くてボロボロだから車両保険はいいや」という方もいらっしゃいます。

その際は
「ご自身で破壊された場合を前提とされてると思いますが、他人から事故などで破壊されてしまった場合、最悪相手が保険加入されてない場合も、車両保険の対応しか残らない場合もあります。それでもよろしいですか?」
と、確認するようにしています。

そう・・・こういった時には「相手がこちらの思いのままにすんなり払う」という性善説に基づいている思考なんです。

私は基本的に「性悪説」です。
なにせ、自動車保険の加入率は100%でありませんのでね・・・

要はこの方が主張されている金額は、制度・法律的に通らないこれが現実です。

しかし・・・世界で1台しかない僕の車と書いていますが・・・会社の車なんですよね?これ。

 

筋違いの行動と、これから懸念されること

今の時点ではあくまで保険会社との示談交渉です。
この際に、お客様サービスセンターに電話するのは得策ではありません。

なぜなら、この車両の保険は三井住友海上であって、三井住友海上の客様サービスセンターに電話するなら理解できますけれども、損保ジャパンのお客様は相手方加害者です。

話は聞いて伝えてくれますけれども、そこに電話したから事態が好転するわけではありません。
相手の担当にしてみれば、社内データが残るのでくそめんどくさいのを増えただけです。

 

そして実はこう言った行為は、相手保険会社の協力弁護士が出てくるリスクを孕みます
担当で話が通じないのであるならば法律のプロを盾にしますよ、ということです。

「おぉ!弁護士か!話が早くなる」と楽観視が一番できません。
何せ相手の保険会社の利益を代理するわけですから、さらに強力な塩対応になるだけです。
被害者の話を組んで損保ジャパンに交渉することも絶対にありません。

なぜなら双方弁護という弁護士としては懲戒レベルのしてはならない行為になるからです。

保険会社に尖った態度を取りすぎるのも、こういったリスクがあるので考えものです。

 

一番いいのは、自体をきちんと把握し知識をつけて対応することなのですが・・・それが出来ないから大変なんですよね・・・

三井住友海上は何で対応しないのか

昭和48年、損保各社と日弁連は協定を結びます。
増加する交通事故において、弁護士の代理を入れていたのでは解決が進まない。
従って保険会社が示談介入することを認める協定であり、昭和49年3月から「示談交渉付き自動車保険」として販売がスタートします。

その際に、示談においては「双方過失事案」のみとされ、今回の様な過失ゼロにおいては、対応しないということが盛り込まれています。

そのため現在では
・紛争処理センターの設置
・弁護士特約の商品化
にて対応されています。
したがって自分自身が加入している三井住友海上の担当は何もすることができません。

※「損保ジャパンの対応はオカシイ」と三井住友海上の担当が言っていますが・・・これはリップサービスです。
私に言わせれば、似たり寄ったりはどこでもしています。
ちなみに両社とも、代理店として取り扱っている上で申しあげています。

 

ツイートの中でもご本人が書き込まれていますが、弁護士特約の加入がなされていないようです。

ちなみに保険屋さんの仕事として私の場合、この弁護士特約を加入していただけない場合であるならば 、きちんと説明して契約をお断りしています。

それは私自身が交通事故受傷もしていますし、この特約の未加入における悲惨な事例を多く知っているからです。

契約は契約者の責任になりますので、申し訳ないですけれども、弁護士特約に加入していない責任も契約者にあります。

私ならば、顧客だったらこの時点で弁護士特約の使用を勧めています。

何よりも「代理人」として立ってくれるので、精神的ストレスはかなり軽減できるはずです。
まあ弁護士を入れても、車両の価格においては、損害賠償ルール以上の金額が出てくるわけはないんですけれどもね・・・。

ただでさえ塩対応の損保ジャパンが、今回を行っていることは何なのか?

簡単です。
一言で言えばゴネ得を狙っています


実は今年の夏にも、別件で相談を受けました。
私の顧客でもなんでもない、古い知人なのですが・・・
・直進中無理に右折してきた車に衝突された
・実は自分自身の保険が更新されてないことを事故後に気づいた
・車両評価額も、年数が経過していることから非常に低く、その金額では買い直しができない
・相手の保険会社からの提示も一点張りで、低い金額しか認めないと言ってきている
・「飲めないのだったら裁判でも何でもしてください」と強硬姿勢
・何とかならないか?力を貸してほしい

といった相談でした。
このときは「あいおい損保」です
このケースも一緒です「無理なもんは無理」として回答しました。

当然ながら弁護士特約も入っていません。
入っていれば、対物超過修理費用特約も加味した主張も、できたかもしれないのです。
何より自分の保険に入ってないっていう点が 痛い。

事故時の責任として、相手に賠償する・・・これが自動車保険の大前提でもありますが、昨今の自動車保険加入率等々の事情垣間見ると・・・相手に対しての責任もあるが何よりも自分自身のことを守る・・・これが今の自動車保険に必要なことだと私は考えます。

そこで保険料を抑えたいために、設定保険金額や、特約の内容を削ってしまっては・・・いざという時に自分のことは守らなくていい、ということが契約の中に盛り込まれてしまっているんです。

だから保険は、保険料から入るのではなくて、内容を吟味し整理してその後に必要に応じて保険料を調整する・・・これが間違いの少ない保険加入の仕方になります。

今回の記事の損保ジャパンの場合は
・とりあえず示談なので渋くごねてみる
・ゴネて相手が折れるまで待つ。
・裁判で判決になれば強制がされるが、実際においては、所詮お話し合いなのでそこまでない。
・だからゴネられるだけゴネる・・・相手が弁護士特約に入っていなくて、プロが出てこないのならば尚更。
・仮に、弁護士が出てきたとしても、制度法律の範囲内のことしか認められないということは、相手も知っているわけだから、感情論を排除できるのである意味話が通じやすい。
・そもそもこういったことは日常茶飯時なので、別に弁護士が出てきたからといって怖いことは何もない。

これが本音でしょうね。
今日はプロなので、制度法律を熟知していますから、平気で言えるんですよ「納得できないのならば裁判でも何でもしてください」とね。

ある損害サービスの課長さんと世間話で聞いた事ありますよ。
「相手が感情的になればなるほど、やりやすい。理論がどこかで綻びが出てくるので、そこを言いくるめれば良いから。・・・え?逆にやりにくい相手ってどんなのですか?って・・・そりゃあ杉本さんみたいな人ですよ。真実の理論をがっつり主張されたら、逃げ道無くなってきますもの、こっちは(笑)」
ですって(爆)

まとめ

・自分が遭遇したことで、特定保険会社は避難したい気持ちはわかるが、別に損保ジャパンだけが塩対応をしているわけではない

・結局は制度法律に則った手続きになるので、個人の感情は理解できるが、実現できるかどうかは別問題

・ 保険加入は、責任と同時に自分自身を守るものとして考える。保険料を払わずに機能を減らすのは、いざ有事になったらその分は填補されないと理解するしかない。

まぁ今回はこんなドライな感じになっちゃいましたけれども、感情をなだめるために綺麗事を言っても始まりませんし、現実問題を知らなければ何も対策ができませんからね・・・

繰り返しになりますけれども、損保ジャパンだけが塩対応じゃないんですよね・・・ 

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プライムケア 杉本

株式会社プライムケア代表取締役
<国家資格> ・柔道整復師 ・ファイナンシャルプランナー2級技能士 <各資格> ・生命保険・損害保険募集人 ・EK療法士 ・ashibraⓇ認定アドバイザー

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