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弁護士のTwitterから柔整業界が考えるべきこと

ちょっと、それは理論的に違うのでは?と思ってリツイートしたら、返信頂き、そこからさらに見えてくるものもあったので、記事として起こします。

大元はこちら

「交通事故外傷における通院で接骨院だと後遺障害が認定されないのは?」に対してです。

弁護士のコメント

・認定にはちゃんとした医療機関に通院しないといけない
・医療機関でない整骨院が通院のベースだと格段に認定率が落ちる
・働いてるから行けないという主張も効果がない

というもの。

これはこれで、弁護士が日常行っている業務からすれば、医療機関でも無い接骨院をメイン通院にすれば、それは認定されなくて然りという事実はイヤと言うほど思い知らされることとなり
「接骨院は通院としてふさわしく無い」
という結論に達しやすいのは理解出来ます。

実際に、事案を受任してみれば、なんでこんな通院環境かな?となるのは、私も見てきていますのでよく分かる。

私が釣られた理由

接骨院が医療機関か否か?は広告検討会でもケンケンガクガクであるので、耳タコな事であります。

ただ、医療機関かどうかの前に、自賠責保険の規定として「柔道整復に関わる損害」として項目がある以上、自賠責保険を利用しての施術を行うことが出来ます。

ですが、「行う事」「認められる事」は別問題であり、業界内においてもこの区別が出来ているとは思いがたい。
その理解不足から、ただでさえダメージを負っている患者さんへの深刻な仕打ちに至るケースがあるので
「医療従事者という名の二次加害者」として、説明しています。

ただ、1点補足しておいても良かったのは「ベース」という表現に関して。
偏重ならば、ごもっとも。
しかし、偏重の判定が日数で分別出来ない(されていない)ので、そこは難しい。

ただ、私のスキームでは「医接連携」というキーワードで出しています。
しなきゃダメというレベルで、統一しています。

実際に、勉強会に来てから、通院に関する事や、日々の医療対応に関する知識を受け止め、きちんと実践している柔整師は、今回の弁護士が憂いでいる状況は回避出来ており、かつ彼らの業務に関して、メリットはあってもデメリットは無いはず。

なので接骨院の通院=認められないのは尚早であって事実と違う!としたリツイートをしたのです。

しかし、勉強会を5年以上やっていても、いまだ旧態依然知識不足のママでの対応は、今回のツイートになって然るべき所でもありますが・・・。

ただ「接骨院に行くから認定されない・・・」ここは違うとして反応したのですね。
また、弁護士会の統計上でもそうなっているとされていますが、エビデンスを統計結果だけでつなげることは、マイノリティや、認定実態の結果を方程式化して(悪用を絶対しない)スキームとした私の理論との整合性がつかなくなります。

私のスタンス

以前にも取り上げましたが、「溺れる赤ん坊のメタファー」

今回の場合、統計結果的に出ているとしても、それは川に投げ入れる男の存在を示したに過ぎません。
事案を受け、その案件だけ解決するだけのスタンスなら、それだけで済みます。
しかし、それでは「医療現場はどうすればいちばんいいのか?」という考察には繫がらないのです。

私は『補償されるべき賠償を医療従事者の扱い方の間違いによって潰してはならない』というスタンスです。

実際にそういった事案を、交通事故に携わる事で見てきていますが、私自身の事故の際でも、当時の主治医の対応によって、後遺障害が1部飛んでしまったという辛い経験をしています。
その時の、患者・被害者としての精神的ダメージは計り知れなく「俺が、何をしたっていうのか?!」という抑えきれなくなりそうな感情の高ぶりを、今でも覚えています。

その後は、最終的に後遺障害認定を元にして、東京地裁での裁判で解決しています。
弁護士にしても、保険会社から紹介された弁護士は、私より保険知識に乏しく、たんなる足枷にしかならなかった経験もあり「資格=プロ=間違いが無い」という訳では無いことを、イヤと言うほど痛感しました。

なので、職業や資格だけで交通事故に携わる人間が付いていても、必ずしも被害者は解決に結びつかないので、ある種の緊張感は常に無いと行けないと言う事。
また、知っている様で芯まで捉えて理解するのって容易ではなく、以外に多くの人間が成し得ていないので、せめて「芯を捉えようとする意識」は必須であるということです。

実際に認定は?

他の被害者の資料があっても、公開認定を貰えるまで時間がかかるので、私の例で説明します。

事故後6ヶ月間の通院実績は118日。
整骨院の通院は、事故後3ヶ月経過後の残り3ヶ月(92日間)で44日となり、全体の39.2%。
医師の元で「後遺障害診断書」を作成頂き、その後頚部14級9号に認定されますが、異議申立で12級13号。

他にも、勉強会既参加の柔道整復師への通院で、医接連携での認定はされています。

つまり(私の場合は後半期に集中しているが)整骨院通院が多い=認定されないわけではなく、認定されない理由は他にもあるのです。
ただ、その理由については悪用を回避するために、詳細はオープンにしません。

交通事故NPOでの、1万件を超えるデータを見れて勉強出来る環境にいた際に、認定の是非の違いをしっかり理論立てて習得してきた経験があります。
この方程式は、悪用では無く、自身の時の様に「認定されて然るべき被害者の医証を、現場の医療従事者が何をすべきか?」だけに活用しています。

これは、賠償を作りあげるのではなく、事実を相違なく残す考えかたです。

もちろん、現場の柔整師が知識不足のままでボンクラ対応すれば、今回の弁護士の指摘のように、認定されるべき被害者の賠償は立証されなくなります。

業界が考えるべきこと

①既に末期状態なのは理解すべき
これまで、案件と結ばせたいニーズの弁護士も減り、ある意味で愛想を尽かされて来ています。
実際に、SNSを見ても、柔整師に交通事故を語る弁護士が激減しているのは、見て分かります。
私は「手のひらがえし」として、4,5年前からいつかこうなるよ・・と予言しており、事実化してきましたが当然です。

ここまで逮捕がおき、弁護士業務の中での賠償潰しの実態を経験していれば、致し方ない対応です。

②出来るはずだったのは「無知の知」
私は「知らないことを知らないのが原因」としています。
知っていれば、ここまで疲弊した状態にならずに済んだのです。

その為の勉強会もしてきましたが、私の考え・想いとの温度差は埋まりづらく、理解は進まないが排除は進行・・・。
これは自らが、気付くしか無いので、仕方無い事でもあります。

③反論したいのなら、その為に・・・
事実を知った上で、業務を遂行しなくてはなりません。
今回の様に、認定されずらくなる要因ではあります。
ですが、原因では無いことは、医療機関では無いとされる接骨院への通院でも認定されている事例があることから明らかです。

ただし「要因」であることは、目を背けるべきでは無い。

なので、要因にならないようにするために、知識は得なくてはならないのです。

というか・・・理解しないで交通事故対応するから、ここまで自分の首を自分で絞めてしまうんですからね・・・

投稿された弁護士からは、リツイートで
『では,整骨院での施術を基礎とした患者の後遺障害が認定されにくい自賠実務を変更する運動,頑張られてください。そっちのほうがこちらとしても助かるので。
ただ,その実務が変更されるまでは依頼者や相談者,交通事故被害者に対して,整骨院通院の悪影響を伝えざるを得ません。』
私は、この返信に好意を持っています。
ここに、柔道整復師が交通事故に携わらせてもらえる、筋道があると思っています。

最後も繰り返しになりますが・・・
私自身もこの弁護士が主張する「接骨院偏重治療」に対しては、これまで通り大反対の立場です。

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