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自賠責巨額詐欺事件から文化を変える:治療費0円広告を出したいときに読んでほしいこと③

要は「タダより高いものはない」と、分かっているつもりではいるが、ついつい引かれてしまう・・・
イヤイヤ・・・と葛藤してしまうケースも日常生活において多々あります。

しかしちょっと考えてほしいのです。

0円・無料の先にあるもの

本件は、0円・無料を広告として出している立場でありますが、分かりやすくのために逆の立場でも考えてみましょう。

例えば、なにかしらのセミナーがあったとします。前提としては・・・
・時間は3時間
・場所は新宿
・50㎡で30人前後の受講可能なセミナー会場
・会場料金は3時間プラスで5時間は抑えるとして、最低でも45000円にプロジェクターやマイクなどの備品を入れて6万円程度
・セミナーの募集のチラシ作成や、広告宣伝費用を合わせれば、さらに5万円
・係の人間がお手伝いでボランティアならいざ知らず、大概は日当発生して一人最低1万円として、3人。
約、15万円近い経費が掛かるのはザラ。

そこに、無料とか0円とかのセミナー参加フィーではいかがでしょうか?
湯水の様に、余っているならいざ知らず、見返り無しにするモノでしょうか?

仮に参加費5,000円としても、会場的に満員ならいいですが、20人前後で10万円の収益で、赤字です。
つまり30人をフルで埋めなくてはならない。

私なら疑います。
・別途の収益があるのでは?
・終了後の勧誘のためでは?
・表向きとは別のいとがあるのでは?

そのうえで、それを受講する価値があるか?を天秤にかけて、有益なら参加すると思います。
得体の知れない、本心がある事は前提で・・・。

別に、何かしらの意図があってセミナーするのはルール違反じゃないですしね。

要は、リテラシーがある人ほど「無料」「0円」に対し、提供側が思っているよりも、惹かれる訳では無いと言う事です。
例えば、どこかで体験会とかの10分の無料施術なら、リテラシーある人も、その無料の奥にある意図が見えるので、選択肢に入りやすい。

でも、そんなライトな選択では無くなるほど「無料・0円」は警戒対象になりかねません。

つまり、人生の一大事における交通事故受傷という大きな事象に「無料」とあった場合・・・
リテラシーが高い人ほど「それは本当か?」という猜疑心も生まれかねないのです。

予約制自費の院であるウチの患者さんから、世間話で
「先生、よく町で見かける交通事故のノボリとか出しているところあるじゃ無いですか?あれって
儲けるためにやっているんですよね?」
と、言われて答えをどうしようかと困った私が、ここにいます(笑)

相反するところに「公的保険制度」の恩恵が複雑化させる

「でも、自賠責保険制度があるんだから、それを説明すれば納得するじゃないか!」
ごもっともです。

ただ「0円広告」の厄介な所は、自賠責保険の恩恵の問題だけではないのです。

まず、多くの広告・HPを見ていて違和感を感じるのは、交通事故は自賠責保険を使う事は間違っていませんが、任意保険や任意一括請求などを含めた交通事故民事損害賠償を、自賠責保険の目線だけで捉えすぎていると言う事。

・限度額は?
・過失割合は?
・裁判に移行した場合は?
・自賠責保険が使えないケースの場合は?
・任意一括請求が使えなかったら?

いろんな付随する事象が、交通事故では関わってくるのに、医療従事者はどうしてか「ジバイ」という括りで捉えすぎなのです。

120万円とか、免許持ちの施術なら「必要かつ妥当な実費」として扱われるとか、被害者請求だとか・・・

医療従事者が懸念している多くの交通事故事案にまつわる問題は、自賠責保険の呪縛に囚われすぎていると言う事。

知っている自賠責での知識だけの対応に依存しすぎると、「0円治療広告」など被害者である患者さんの実態にそぐわない事も、「本当にいいの?」と疑問に思うことが少なくなってしまいます。

これが「ジバイ病」の怖い所。
盲目にさせるんですね。

自賠責保険は確かに公的保険だけど

「健康保険」「労災保険」と大きく違うことがあります。

健康・労災保険は適応する症状・事象の前提を分析・細分化して支払基準が明確化しています。
つまり、保険制度の方で越えるべきハードルの高さが分かっている。

しかし自賠責保険は、前提が損害賠償。
払うか否か?が先にあって、そこに当てはめる制度
例え事故でケガしたとしても、払うべきかどうか?の問題がクリアされない限りは、
払わなくてもいいという根幹が民法で決まっています。

ここが医療従事者が戸惑うこと。

それでもジバイ病の怖い所は「使える保険制度は、使う方が良いに決まっている」という無意識下の思想を後押しします。

私、他の業界から来て思うのが、医療従事者の「保険は使えるもので、使うありき」が強いな・・と。
保険があって、そこに患者を当てはめて申請するようなイメージなんです。

一般的な感覚として、事象があって、そこに保険が出来よう出来る場合は使う・・・なのが、私のイメージでした。
ここが、ジバイ病における「0円治療広告」を後押ししている気がするんですよね。

「交通事故=ジバイ」という無意識下第一選択は、視野を狭くさせます。
保険会社にしてみれば、知識不足のスキを突っつけて支払拒否に繋げられるので、そこは歓迎。
めんどくさいことも多いけど、利口になって貰っては方便が通用しなくなりますからね。

そして保険会社も分かっている

勉強会の動画インタビューでも、元損保さんは
「協定前には、調べられるものは、なんでも調べるためにまずググる」
と言っています。
協定のための電話が来たときには、すでに保険会社はおおよそを調べています。
もちろん、HPにある「治療費0円」も。

その際に、その病院・クリニック・接骨院のリテラシーレベルもチェックします。
そのチェックは色眼鏡となります。
知識レベルや、どのように交通事故事案を捉えているか?ここと協定した場合はどのような対応になるか?
もちろん、各保険会社が共有できる過去の履歴もチェックし、参考にします。

・何かしらの団体に加入
・交通事故での患者救済活動
・弁護士を前面に押し出したアピール
などなどは、同様・・・いや見方を二乗させるごとく色眼鏡を加速。
諸々を塩対応への道をまっしぐら。
もちろん患者さんに対しても「そういう所にいく被害者なので警戒すべき」となる事は、想像しやすいと思います。

まとめ

・0円治療広告は百害あって一利だけ
・「タダで治療が受けれるヒャッハー」という方を相手するにはよろしいかと。
自費移行の方からすれば、一番避けたいパターン

・制度知れば知るほど「0円治療」の怖さを知るはず
・そして意図しないレッテルを貼られかねない

昔から言うじゃ無いですか「タダより高いものはない」これ、医療者側にとってもなのかも。

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プライムケア 杉本

株式会社プライムケア代表取締役
<国家資格> ・柔道整復師 ・ファイナンシャルプランナー2級技能士 <各資格> ・生命保険・損害保険募集人 ・EK療法士 ・ashibraⓇ認定アドバイザー

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