なんとも、痛ましい事故の判決が下り、2件ほど質問を受けましたので、記事にしたいと思います。
事故の発生と裁判経過
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前橋市北代田町の県道で2018年1月、乗用車で女子高校生2人をはねて死傷させたとして、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われた男(87)=同市=の判決公判が5日、前橋地裁で開かれた。国井恒志裁判長は「(事故前に陥った意識障害の)予見可能性は認められず、運転を避ける義務を負わせることはできない」として無罪(求刑・禁錮4年6月)を言い渡した。
(以下、上毛新聞より)
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裁判は、運転中に意識が落ちた被告への責任を巡って、服用していた薬や持病との因果関係を巡って議論されておりました。
服用薬と目眩との因果関係が「医学的根拠が見当たらない」として判断されています。
「意識障害を予見することが出来なかった」として、結論付かれています。
交通事故に関わるという事
今回の事故の2人の被害者のうち、一人は死亡、もう一人は脳挫傷という痛ましい事故となりました。
私自身も、医療コーディネーターとして
・死亡
・遷延性意識障害
・高次脳機能障害
・複合性局所疼痛症候群(CRPS)
・切断肢
・人工関節置換
・胎児死亡
などにも関わってきた経験があり、未来ある若人の受傷は尚更胸が痛みます。
しかし、理解と同情は違うので、そこはそこで思慮しなくてはなりません。
私が、接骨院の広告やHPで「交通事故の事はなんでも相談してください」という文言に対して、「おやめなさいよ」と提言するのは、交通事故って色んな状態もあって、事情も複雑です。
それを門外漢出あるにも関わらす、軽症領域の患者の獲得目的の文言は、実際に被害に遭った当人からすれば不快でしかありません。
単に、療養費ではない自由診療領域で高単価目的の無責任広告は、場合によっては自身のクビを締める事にもなりかねません。
私は、発言には責任が伴うのであって、勉強会を受講された方には、金銭を頂いている以上対価として尚更注意を注ぎます。
金銭関係にあっても、世の中には無責任な誘導を平気で行う人もいるようですが・・・
無責任な方からの誘導でミスアクションを起こしたとしても、そのアクションへの責任は当人が追わねばならないのです。
だから、実態を踏まえて申しあげてます「やめときなはれ」と。
今回の「無罪判決」で、賠償は無くなるのか?
(※以下、法律関係者ではありませんが、保険募集人資格レベルで解説します)
基本的に無くなりません。
今回の判決は「刑事裁判」です。国が起こしてしまったことについての責任を明らかにする事を目的として「刑法」が採用されます。
一方、治療費や慰謝料などの請求は「民事訴訟」になります。
不法行為によって被害者の財産などを侵してしまったことにより、損害賠償を負う責任を明らかにします。
当然、「民法」が採用されますので、私が常に説明している「民法709条:不法行為による損害賠償」を元に、請求を明らかにします。
民事の場合、裁判の前段である「示談段階」で紛争になっていなければ、それで終了することになります。
刑事罰があってもなくても、民事損害賠償の事実は変わりません。
したがって、別の解決と理解すべきです。
もちろん、請求に関しては「相当因果関係の立証責任」は関わってきます。
保険会社としても
たまに・・・辛辣な事故でも「??なんでここまでやろうとするの?」といった、保険会社のアクションを見る事もありますが、重篤な事件であればあるほど・・・むち打ち損傷で垣間見るような「それってどうなのよ?」といった対応は少ない傾向です(無いとは言いません)
そして、以下の配慮があります
被害者救済が前提
→なににつけても、これです。
そもそもの対社会的意義があり、民事上の損害賠償を負う役割があるので、対応されます。
分野が違うが刑事罰への配慮
→裁判官心象は非常に重要です。同時に並行する民事の方でモメており、被害者とその家族への社会的な責任を果たす姿勢が民事で行われていないと、裁判官心象が悪くなり、判決に影響してきます。
逆によくあるのが・・・
被告側弁護士が罪の軽減を懇願するために被害者へ、「厳罰回避への一筆」を求めるというのは聞いた方もいるかも知れません。
オマケの話
後遺障害等級審査の際に「自身が日常生活で困っていること」を、裁判における嘆願書のごとく、ダラダラとした手紙を添付する方がいます。
自身で「私は事故でこんな酷い目に遭っている」という主張をしたいのか?
もしくは刑事事件で刑の増減の為の文書を訴える文書を、裁判で提出することがあるので、それを模した形にしようとした弁護士に言われたからなのか?
本当に有力な交通事故に強い弁護士や、事故被害者から依頼され、医療資料作成を行い地裁・高裁へ提出した経験もあるので、ハッキリ申しあげますが・・・民事損害賠償では意味が、ほぼありません。
そんな暇があれば、もっと違う事にエネルギーを費やした方が良いと回答しています。
刑事裁判での心象のようなものは、具体的損害を数値化する民事では意味が無いと思っています。
逆は有りなんでしょうけど。
まとめ
・「刑事」と「民事」は別。
・被害者救済のために、自賠責保険は用意され、そこで補填されない分は任意保険が払う
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